五十肩 -その病態と診断・治療から予防まで-

日整会誌(J. Jpn. Orthop. Assoc.)86(7)2012, 516-523

外来診療の実際

83回日本整形外科学会で教育研修講演として発表された、船橋整形外科スポーツ医学センターの菅谷先生の論文です。

 

下記に要約します。

 

 

肩関節=肩甲上腕関節+肩峰下滑液包+肩甲胸郭関節

 

・ 肩甲上腕関節内の炎症

 

 ⇒ 肩関節が動かないように肩関節周囲筋が緊張・スパスムをおこす

 

⇒ 肩関節の可動域制限をきたす

 

 

つまり、五十肩の可動域制限は肩甲上腕関節内の炎症による疼痛に対する生体の防御反応なので、炎症期には決して無理な関節可動域訓練を行ってはいけない とのことです。

安静時痛や夜間痛がある場合

 

疼痛を誘発しない範囲内でのADL動作や、胸郭・肩甲帯に対する運動(深呼吸)を行う

 

 

胸郭・肩甲帯に対する運動(深呼吸)とは・・・

 

 

肩関節を動かさないように両手を大腿の上に置き、深呼吸しながら骨盤を立たせ胸椎を伸展させ(胸を張る)、肩甲骨を内転させる(引き付ける)。息を吐きながら力を抜く。この一連の呼吸動作を繰り返す。
 

 

消炎処置としては、ステロイド剤と局所麻酔剤の混注が最も効果的で、拘縮の強い場合は肩甲上腕関節内へ、拘縮がないかあっても軽度な場合は肩峰下滑液包内へ注射する。

五十肩の病期別治療法

Freezing Phase (炎症期)
      

疼痛のコントロールを優先

肩関節の安静、肩甲上腕関節内へのステロイド注射

→夜間痛が完全に消失するまでの平均注射回数4.7回

胸郭・肩甲帯の運動(深呼吸)

 

 

Frozen Phase (拘縮期)
  

積極的な理学療法

 

 

Thawing Phase (寛解期)
      

積極的な理学療法

 

疼痛が強い時期の唯一かつ最も効果的な治療は、肩甲上腕関節内へのステロイド剤と局麻剤の注射である。

 

 

五十肩の治療で最も重要なのは疼痛管理であり、疼痛さえ管理できれば可動域はむしろ自然に回復してくるし、理学療法にも良く反応する。

 

 

菅谷先生は、特に五十肩の治療で最も重要なのは疼痛管理であることを力説されています。

 

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