放射線科医師である柳下先生の著書で、脊椎・脊髄領域では最もメジャーな教科書のひとつです。幅広い知識と高度な読影力が求められる脊椎脊髄MRI診断を、病因・病態および撮像法から読影、診断ポイントまで、鮮明で豊富な画像と簡潔な解説されています。整形外科医のみならず脳神経外科医、神経内科医、放射線科医にとって必携書です。
自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。
手の外科は整形外科の中でも習熟するのが難しい分野のひとつです。広島大学名誉教授の津下先生の”私の手の外科”は、手の外科のバイブルと言ってよいでしょう。津下先生直筆のイラストが豊富で、非常にわかりやすいです。超一流の外科医は絵も上手であることを強く感じます。
京都大学の上羽先生が執筆された書籍です。通常の解剖テキストでは描写しきれない、手の外科の詳細な解剖の知識を学ぶことができます。
初学者が、股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。
例に漏れず股関節外科も進歩が早く、一般の整形外科医師が系統的な知識を得ることは難しいと思います。おおざっぱでもいいので、股関節外科の概念を習得しておかないと整形外科医としては片手落ちです。”変形性股関節症―基本とUP TO DATE”は、そんな一般整形外科医師のニーズにぴったりの書籍です。
2008年発刊の『変形性股関節症診療ガイドライン』に準拠しており、ガイドラインの情報を臨床の現場で活用できることを目的として上梓された書籍です。ボリュームはそれほど多くないので、辞書的に用いるのではなく全体を一読して股関節外科の概念を理解するのに適しています。
下記は、大阪大学の菅野先生が編集された書籍です。人工股関節全置換術の書籍の中では、最もお勧めの書籍です。
膝関節は関節外科の中でも最も重要な分野のひとつです。周知のようにその症例数の多さは、他の分野を圧倒しています。高齢化や食の欧米化による肥満のため、膝関節に問題を抱える方の数は今後ますます増加することが見込まれています。
このような状況なので、人工膝関節全置換術(TKA)の手技を一通りマスターすることは、整形外科医にとって必須といえます。
『 人工膝関節置換術[TKA]のすべて 』は、初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です。
この書籍も総論と各論から構成されています。総論ではTKAの考え方や治療戦略を詳述しています。また、各論では著者の経験に基づいた実践的な内容が記載されています。イラストも綺麗で分かりやすく、この書籍1冊のみで、基本的なTKAの知識を習得することが可能だと思います。
「肩関節のMRI」は、シェーマや写真とMRIの画像を対応させており、肩関節におけるMRIの異常所見を簡単に理解することができます。また画像所見の読影の仕方に留まらず、肩関節の診察方法なども詳述しており、肩関節外科を学ぶ初学者にも親切な構成だと思います。
整形外科手術の各パーツは、OS nowシリーズが最も良いでしょう。各分野の一流の先生が監修しており、非常に読み応えがあります。一般的かつ先進的な手術手技の記載を基本としています。
整形外科領域において、腫瘍はマイナーですが重要な分野です。特に悪性腫瘍は患者数が少なく、基幹病院以外ではめったに遭遇することはありません。しかし見逃すと重大な結果をまねいてしまうため、常に頭の片隅においておく必要があります。
一般の整形外科医師は、系統的に骨・軟部腫瘍を学ぶことは少ないと思います。したがって、平易でかつ分かりやすく記載された辞書的な書籍が有用です。”骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患”は、そんな一般整形外科医師のニーズにぴったりの書籍です。
概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。
全体的にガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書といえます。注意点は、特に軟部腫瘍において良性・悪性を同じセクションで記載しているので、良性・悪性軟部腫瘍を分けた書籍に慣れた方は少し戸惑うかもしれません。